借金があると生活保護申請出来ない?ばれる?返済に充てても良い?

収入がそもそも少ないのに、借金まである・・・
このまま暮らしていても改善する見込みもない。
いっその事「生活保護」でも受けてしまいたい。
と思っている方も、現代では少なくないのではないでしょうか。
本日は生活保護を検討しているが、今ある借金の事も気になる、そんな方のために生活保護と借金の関係について解説します。
生活保護とはそもそもどんな制度?
まずは、正しく理解していただくために生活保護の概要について解説をします。
生活保護とは経済的に困窮する国民に対して、国や自治体が行う扶助制度の1つです。
日本国憲法では「すべての国民が健康で文化的な生活を営む権利」を保障していますのでこのような制度が導入されています。
生活保護というのは幾つかの扶助制度の総称であり、厳密には、
- 医療
- 生活
- 教育
- 住宅
- 介護
- 出産
- 生業
- 葬祭
の8つに分けられています。
一般的に生活保護というと、生活扶助・住宅扶助として使われていますが、その他の事情でも生活保護を利用する事は可能です。
生活保護とは、困窮状態にある国民の生活を立て直すために、一時的に支払われるものであり、最終的な目標としては、困窮状態を改善することにあります。
そのため、受給開始後にはなるべく早く生活保護の受給が終了するように、「ケアワーカー」と呼ばれる職員の指示に従って、改善努力をしていくことが必要になります。
生活保護を受けるための条件
生活保護は、税金によって生活を保障してもらう制度ですので、認定条件が厳しいと思われている方もいると思いますが、実際は生活保護受給資格を得るための条件は、それほど難しいものではありません。
生活保護の認定項目は主に2つ。
1)現金資産が少なく生活に困窮している。
2)現金化ができる資産がない
という項目を中心に決定されます。
よく耳にする不正受給というのは、「実は現金があって十分生活できる状態であった。」「現金化できる資産を隠していた。」など上記の項目を満たさない状態で受給していた場合の事で、実際に生活に困っている状態であれば、受給資格が認定される可能性は高いと思っていただいて問題ありません。
生活保護受給申請の流れ
続いて生活保護の受給申請の流れについて大まかに解説をします。
生活保護受給申請は、
- 所轄の福祉事務所へ行く
- 職員と面談
- 生活保護受給申請
- 事実調査
- 許可の判定
- 受給開始
上記のような流れで行われます。
まず、ポイントになるのは、申請前に行われる「職員との面談」です。
この面談の目的は、生活が苦しい方に対して公的なアドバイスをする事であり、前提として生活保護の受給を促すものではありません。
そのため、面談の際には「生活保護を受給をしたい」と明確な意思表示をしなければ、親戚へお金を借りる方法を持ちかけられたり、支出を減らす方法をアドバイスするだけで終了してしまう事もあります。
ですのでこの面談では、生活保護受給を検討しているということ明確に伝えることが重要です。
面談によって受給の可能性がある場合は、受給申請に進み必要な書類を提出し、許可が下りれば生活保護の受給をする事ができるようになります。
一人で子育てをされている場合は父子・母子福祉資金も利用可能
生活保護以外にも実は、法的に金銭的な援助を受ける方法は幾つかあり、その1つに「父子・母子福祉資金」というものがあります。
この制度は、離婚など、様々な理由によって一人で子育てを行う家庭に支給される支援金のことで、一定の条件を満たすことによって支給を受けることができます。
このように、実は生活保護以外にも様々な制度がありますので、生活保護といきなり決めつけず、ケースワーカーと相談しながら可能性を探っていくことも必要です。
生活保護の受給と借金の関連性
おそらく生活保護を考えられている方であれば、多少の借金はあるのではないでしょうか。
続いては、借金のある方に知っていただきたい「生活保護と借金の関連性」についてご紹介していきます。
生活保護受給申請時に借金はばれる?
まずは、多くの方が気になる「生活保護を受ける際に借金がばれる?」という疑問についてです。
結論をお伝えすると、生活保護の受給申請時に借金があった場合、必ずと言って良いほどばれてしまいます。
受給申請時には、「面談」「事実調査」などが行われるとお伝えしましたが、事前面談の際に、「なぜ生活が困窮してしまったのか?」「現在の収支の状態」「借金の有無」について質問されます。
面談の担当者は、このような情報をもとにアドバイスを行っていきますので、借金がある場合は伝える方が結果的には良いでしょう。
とはいえ、面談の段階で借金の有無を伝えることは義務ではありませんので、隠していても問題にはなりません。
しかし、実際に受給申請を行うことになると資産の状態、借金の有無を申請する項目があり、受給認定を行う際の判断材料として使われます。
そのため、借金を最後まで隠し通すことは現実的には難しいでしょう。
借金があると生活保護は受けられない?
借金は基本的にばれてしまうと説明しました。
しかし、借金があるからといって生活保護の受給ができないわけではありません。
生活保護法では、受給資格に関して借金の有無について言及する項目はなく、生活保護を受けるための条件で紹介した2つの項目を満たしていれば基本的には受給資格が認定される、という事になっています。
つまり、受給申請時に借金があっても許可の判定には影響がなく、受給条件を満たせば生活保護を受けられるのです。
ただし、借金を含めて虚偽の申告をしていたことが発覚し、申請者が故意に不正をしていたと認められれば不正受給となり、最悪の場合、受給停止になることもありえますので、基本的には借金についても隠さず申告するようにしましょう。
また、生活保護法第58条には、「生活保護の受給金は借金の差し押さえ対象にならない」と規定されていますので、万が一支払いが滞ってしまった場合も、最低限の生活はできることになります。
生活保護受給決定後でも借金はできる?
生活保護自体は、借金があっても受給をすることができます。
しかし、生活に困窮した状態で利用する制度ですから、受給決定後に”やむを得ない”理由でお金が必要になることも十分にありえます。
では、このような場合でも借金をすることができるのでしょうか?
実は、受給中の借金に関しても特に規定がないため「新たに借り入れを行うことは可能」です。
しかし、注意しなければいけないのは「借金をするとその分、受給額が減る」という点です。
生活保護は、受給決定後「収入を申告する義務」が発生します。
そして、申請された収入と規定されている支給額の差額を、生活保護扶助金として支払う仕組みで運用されています。
生活保護の規定では、借金は収入とみなされますので、借金の金額だけ受給額が減額してしまう事になります。
つまり、借金をすること自体は特に問題ありませんが、借金をすることによって受給額が減ってしまうため、生活保護の受給中は新たな借金はするべきでは無いと言えます。
借金自体は問題無いが、金額によっては債務整理を勧められることも…
借金があっても、生活保護が受けられるという点はご理解いただけたと思います。
ただし、借金の額によっては事前面談の際に、債務整理を勧められることがあります。
債務整理とは、借金問題を解決するためにとられる手段の総称で、
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
の3つがあります。
生活保護は、あくまでも最低限の生活を保証するという制度です。
支給されたお金の使い道までは特に決められていないので、実際のところ借金の返済に使う事も可能です。
しかし、生活保護で支給されたお金を返済に充ててしまうと、本来の目的である「最低限の生活」ができなくなり、最悪の場合、これ以上の救済が受けられなくなる可能性があります。
また、忘れてはいけないのが借金には必ず利息がついてきますので、支給される金額だけでは十分な返済ができず、結果的に利息で更に借金が膨らんでいく事もありえます。
万が一このような状態になってしまうと、生活保護を受けているにもかかわらず、さらに生活が困窮してしまいかねません。
したがって、法律的な制限はないものの、受給金を返済に充てるという事は絶対に避けなければいけない事であり、生活保護の申請を行う前には借金問題は解決しておかなければいけません。
また、このような事態を避けるため、多くの自治体では、任意整理や自己破産を勧められることがあります。
自己破産手続きを進められる基準は?
生活保護受給申請前の面談で、自己破産など債務整理を進められる基準を合わせてご紹介します。
明確な基準があるわけではありませんが、ほとんどの自治体で100万円以上の借金がある場合に自己破産手続きを進められるようです。
もし多額の借金があるなら事前に債務整理を検討しよう!
生活保護は借金があっても受けられるものですが、多額の借金がある場合には、状況が更に悪化してしまう可能性が高いです。
借金がある方が正しく生活保護を受け、生活を立て直すためには事前に債務整理を行うことをお勧めします。
先ほど紹介した任意整理、個人再生、自己破産という債務整理の3つの方法についても併せて解説していきたいと思います。
借金が比較的少なく返済の可能性がある場合は「任意整理」を行おう!
任意整理とは、借金問題で悩む方が最も多く利用する方法であり、司法書士や弁護士などの力を借りながら進めていきます。
具体的には、消費者金融などお金を借りていた債権者に対して借金の減額や利息の免除を相談し、2〜3年をかけて借金を返済する方法となります。
公的機関を挟まず解決していくため、資産の差し押さえや没収など基本的にはありませんので、最も影響の少ない方法と言えます。
また、任意整理は多くの弁護士事務所などが無料相談を受け付けていますので、借金問題でお困りの方にまず検討していただきたい方法です。
任意整理について相談したい方は相談サポートに電話して相談しよう!(相談料無料)
⇒050-5578-9591
※スマートフォンのみタップすることで電話がかかります。
借金が多すぎて返済しきれない時は「個人再生」を検討しよう!
個人再生とは、今ある借金の返済計画を裁判所に提出し、計画が認められれば、借金の総額が原則として1/5に減額されるという制度になります。
個人再生の場合、保有する不動産や自動車なども一定の条件を満たすことで手放さずに済んだり、返済計画をもとに支払いを行うため、確実に借金を減らしていく事ができるというメリットがあります。
個人再生について相談したい方は相談サポートに電話して相談しよう!(相談料無料)
⇒050-5578-9591
※スマートフォンのみタップすることで電話がかかります。
借金の金額が大きすぎて減らしても返済できない時は「自己破産」
債務整理の最終手段に「自己破産」があります。
自己破産はこれまでの2つとは違い、裁判所の許可により借金を全額帳消しにするというもので、まさに最終手段とも言える方法です。
裁判所に対して破産申立を行い免責許可が出れば、すべての借金の返済義務がなくなります。
しかし、なくなるのは借金だけではなく、住宅や車など現金化できる資産すべてと、20万円以上の現金すべてが裁判所によって差し押さえられ債権者に分配されます。
つまり、すべての財産と引き換えに借金を帳消しにする方法であり、破産者の情報が機関紙で公表されたり、5年から10年程度は新しいクレジットカードの発行、借り入れができなくなるなど、それ相応のリスクがあります。
自己破産について相談したい方は相談サポートに電話して相談しよう!(相談料無料)
⇒050-5578-9591
※スマートフォンのみタップすることで電話がかかります。
もし自己破産をする場合は「法テラス」を利用しよう!
もし、生活保護受給前、受給中に自己破産を行う場合は、国によって設立された法テラス(日本司法支援センター)を利用しましょう。
自己破産を行うには、司法書士や弁護士の力を借りて行うことになりますが、それには着手金などいくらかの費用がかかります。
しかし、法テラスを利用すると自己破産手続きにかかる費用の減免することができます。
また、各自治体でも自己破産に関する援助を行っていることがありますので、まずはケースワーカーに相談し指示を仰ぐようにしましょう。
もし、借金が多く返済の目処が立っていないというような場合は債務整理を事前に行い、生活保護の受給確定後、スムーズに生活が立て直せるよう準備をすることが重要です。
(公式サイトはこちら!)
⇒http://www.houterasu.or.jp/
まとめ
今回は、生活保護を受ける際に気になる「生活保護と借金」についての疑問について解説をしました。
結論としては「受給に関して借金自体は関係ないものの、受給申請の前に債務整理を行って準備をすることが重要」です。
手元にお金がない状態では、冷静な判断ができない事もありますので、まずはケースワーカーや法テラスなどを活用し、適切な準備をしていきましょう。